舌小帯が痛い原因は?舌の裏のスジに違和感がある時の対処法
監修:歯科医師 長谷川雄士
「舌の裏側がピリピリ痛む」「喋る時に突っ張るような違和感がある」といったお悩みを抱えていませんか?それは、もしかしたら「舌小帯(ぜつしょうたい)」が原因かもしれません。
舌の裏側には「舌小帯」というスジがあり、この部位の異常が痛みを引き起こすことがあります。
本コラムでは、舌小帯とは何か、痛む時の原因や対処法についてお話ししていきます。
そもそも「舌小帯」とはどこのこと?
舌の裏側を鏡で見ると、中央に一本の細いヒモのようなスジが見えるはずです。このスジのことを舌小帯(ぜつしょうたい)と言います。
舌を支える大切な組織
舌小帯は、舌を口の底(口腔底)につなぎ留め、舌の動きを適度に制限する役割を担っています。これにより、舌が喉の奥に落ち込むのを防いだり、発音や咀嚼(そしゃく)をスムーズに行えるようサポートしたりしています。
個人差が大きい部位
舌小帯の長さや太さ、付着している位置には個人差があります。生まれつきこのスジが短かったり、舌の先端に近い部分まで伸びていたりする状態を「舌小帯短縮症」と呼びます。
舌小帯が「痛い」と感じる主な原因
舌小帯付近に痛みや違和感が生じる場合、いくつかの理由が考えられます。
口内炎(アフタ性口内炎)
最も多い原因のひとつは、口内炎です。舌小帯は粘膜が薄いため、体調不良やビタミン不足、ストレスなどで炎症が起きやすく、口内炎ができやすい部位でもあります。一度できると、治るまでは舌を動かすたびに強い痛みを感じます。
物理的な摩擦や傷
尖った歯や、適合の悪い入れ歯、矯正装置などが舌小帯に繰り返し当たることで傷がつき、痛みが生じる場合があります。また、硬い食べ物を食べた際にスジを傷つけてしまうケースも少なくありません。
舌小帯短縮症による過度な牽引
舌小帯が短いと、無理に舌を動かそうとすることでスジが常に引っ張られた状態(牽引状態)になり、慢性的な違和感や痛みを引き起こすことがあります。このように、舌小帯が短いことで可動域が制限される疾患を『舌小帯短縮症』と言います。
舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)とは?
「舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)」とは、一言で言うと「舌の裏側にあるスジが短すぎるために、舌の動きが制限されてしまう状態」のことです。「つれ舌」と呼ばれることもあります。
生まれつきの形態異常であり、舌が口の底に強く固定されているため、自由に動かすことが難しいです。
わかりやすい特徴として
- 舌が短い
- 舌を前に突き出した時に、舌の先が引っ張られてハート型にくびれる
などが挙げられます。
これらは、中央のスジが短いために舌先が十分に伸びきれないことで起こる現象です。
主な症状とセルフチェック
以下の項目に当てはまる場合は、舌小帯短縮症である可能性が高いです。
- 舌を前に出した時、先端がくびれてハート型になる
- 舌を上顎(口の天井)につけることができない
- 「ラ行」「サ行」「タ行」の発音が不明瞭
- ソフトクリームを舐める動作が苦手(舌を下の歯よりも前に出すことができない)
大人になってから違和感が出るケース
子どもの頃は気にならなくても、加齢による筋力の変化や、話し方の癖、歯科治療後の環境変化などによって、大人になってから突っ張り感や痛みが顕在化することがあります。
舌小帯の痛みを放置するとどのようなリスクがある?
痛みの原因が単なる口内炎であれば、数日で治るでしょう。しかし、舌小帯そのものに問題がある場合は、放置することで私生活に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
滑舌の悪化とコミュニケーションへの影響
舌の可動域が制限されるため、特に「サ行」や「ラ行」が発音しにくくなります。これによって、聞き手にうまく伝わらなかったり、何度も聞き返されてしまったり、会話に支障を来すことも少なくありません。人との会話や人前で話すことに消極的になってしまうなど、心理的な影響が出ることも懸念されます。
歯並びや咬み合わせへの影響
舌は本来、安静時には上顎に軽く触れているのが正常な位置です。しかし、舌小帯が短いと、舌が低い位置(低位舌)に留まりやすく、下顎を押し出すことで「受け口(反対咬合)」などの要因となります。
舌の裏のスジに違和感がある時の対処法
痛みや違和感がある際には、まずは自宅でできるケアを行なってみましょう。
口腔内を清潔に保つ
炎症が原因の場合、まずは口の中を清潔に保つことが第一です。低刺激の洗口液を使用し、細菌の繁殖を防ぎましょう。刺激の強い歯磨き粉などは使用を控えることをお勧めします。
刺激物や摩擦を避ける
気になってしまうかもしれませんが、痛む部分を指や舌で触らないようにしてください。また、辛いもの、酸っぱいもの、熱すぎるものは炎症を悪化させるため摂取しないようにしましょう。
市販薬の活用
歯科医院に行くまでの応急処置として、市販の口内炎パッチや塗り薬を使用しても構いません。ただし、2週間以上痛みが引かない場合は、別の病気の可能性も考慮し、早めに受診しましょう。
歯科医院で行われる診断と治療法
舌小帯に痛みや違和感がある場合は、原因を特定するためにもなるべく早めに歯科医院を受診してください。
視診と問診
まずは舌の可動域をチェックします。口を大きく開けた状態で舌先がどこまで上がるか、舌を突き出した時の形態はどうか、などを確認して、治療の必要性を判断します。
保存療法(舌トレーニング)
軽度の場合は、「舌接触補助床」という装置を使ったり、舌の筋肉を鍛えるトレーニング(MFT:口腔スジ機能療法)を行ったりすることで、症状の改善を図ります。
外科的手術(舌小帯伸展術)
生活に支障がある場合は、手術が検討されます。スジを切開し、長さを延長するように縫合します。近年ではレーザーによる切除も普及しており、出血が少なく、術後の痛みも比較的抑えられるのが特徴です。
舌の違和感は歯科医院へ相談を
舌小帯の痛みや違和感は、一時的な炎症から構造的な問題まで多岐にわたります。たかがスジ一本と思われがちですが、舌は「話す」「食べる」「呼吸する」という重要な動作を支える臓器です。
もし日常的に舌の裏側に痛みや突っ張りを感じているのであれば、放置すると将来的なトラブルに繋がる異常が潜んでいるかもしれません。
早めに歯科医院を受診して適切な診断と治療を受けることで、改善が見込めるケースもあります。
発音がスムーズになったり、食事が楽になったりすれば、日常的に感じていたストレスの緩和にも繋がるでしょう。
当院では、無料カウンセリングを行なっております。舌小帯に関するお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
- 資格・所属学会
- (社)日本口腔インプラント学会
- 愛知インプラントセンター
- 日本歯科医師会
- 静岡県歯科医師会
- 静岡市歯科医師会