歯周病が生む「臭い」「口臭」とは?予防と改善法について解説します。
監修:歯科医師 長谷川雄士
「最近、自分の口臭が気になる」「家族や同僚から“ちょっと臭う”と言われてショックだった」——そんな経験はありませんか?
特に30〜50代になると、加齢や生活習慣の影響で口臭が強くなる方が多いです。
実はその臭いは、主に歯周病という感染症によって引き起こされていることをご存じでしょうか。
この記事では、歯周病による口臭の仕組みを解説し、今日から始められる自宅でのケア、そして歯科医院での根本的な治療法までを分かりやすく紹介します。
「なぜ口臭が消えないのか」「何をすれば改善できるのか」を知り、実践することで、日頃のお悩みを解決していきましょう。
歯周病が生み出す「臭い」の正体とは?
歯周病は、歯を支える骨や歯茎に炎症が起きる感染症です。原因は「歯周病菌」と呼ばれる細菌で、酸素を嫌う嫌気性菌が歯周ポケットの奥深くに潜み、食べかすや血液、壊れた細胞などを分解して増殖します。
その過程で発生するのが、あの不快な口臭(臭い)の元となるガスです。
腐敗臭の原因は「揮発性硫黄化合物(VSC)」
歯周病菌が発生させる代表的なガスである「揮発性硫黄化合物(VSC)」
特に次の2つが、強烈な悪臭を放つ主な原因です。
- メチルメルカプタン:腐ったタマネギのような刺激臭を発する。歯周病が進行すると濃度が高くなる。
- 硫化水素:腐った卵のような臭いで知られる。歯周病菌の活動が活発なサイン。
これらのガスが呼気に混ざることで、周囲に強い臭いを放ちます。
さらに、重度の歯周病では歯周ポケットに膿(うみ)が溜まり、その臭いが加わることで、より強烈な口臭となります。
つまり、歯周病の進行=臭いの強さといっても過言ではありません。
口臭の原因を知ることが第一歩
「自分の口臭が歯周病によるものか分からない」と思う方もいらっしゃるでしょう。
実際、口臭は口腔乾燥、舌苔、虫歯、胃の不調など、さまざまな要因が絡み合って発生しています。
しかし、成人の約8割が歯周病を抱えているとされており、根本的な原因は歯周病にあることがとても多いです。
自宅でできる簡単セルフチェック
- コップや袋に息を吹き込み、数秒後に臭いを確認する。
- 指で舌や歯茎を触り、乾いた後の臭いを嗅ぐ。
- 鏡で舌を確認し、舌の表面が白く厚い舌苔で覆われている場合は、細菌が繁殖しているサイン。
これらで強い臭いを感じた場合、歯周病由来の口臭である可能性が高いです。
ただし、最も確実なのは歯科医院での検査のため、自己判断で終わらせないようにしましょう。歯科医院では、唾液や歯垢を採取して歯周病菌の種類と量を調べる「細菌検査」によって、原因を科学的に特定できます。
歯周病による口臭を改善する3つのステップ
口臭を根本から改善するには、臭いを抑えるだけでなく、歯周病そのものを治すことが必要です。
ここでは、自宅でのケアと歯科医院での治療、それぞれの具体的な方法を紹介します。
1、正しいホームケアで細菌の栄養源を断つ
〇歯と歯茎の境目を丁寧に磨く
歯ブラシの毛先を45度に当て、小刻みに動かして磨きます。
歯周ポケット内の歯垢(プラーク)を除去することで、細菌の活動を抑制できます。
〇歯間ブラシ・フロスを併用する
歯ブラシでは届かない歯と歯の隙間の汚れは、歯ブラシやデンタルフロスなどを用いて取り除きましょう。
毎日1回でも習慣化すれば、口臭の改善効果は大きく変わります。
〇唾液を増やす生活習慣を意識する
よく噛む、水分をこまめに取る、口呼吸を避けるなど、口腔内の乾燥を防ぎましょう。
唾液には自然の“抗菌洗浄作用”があり、臭いを抑える働きがあります。
〇歯磨き粉・洗口液の活用
「トラネキサム酸」「塩化セチルピリジニウム(CPC)」「ラウロイルサルコシンNa」など、歯周病菌を抑制する成分入りの薬用歯磨き粉やマウスウォッシュを使用するのがおすすめです。
2、歯科医院での「歯周病治療」で根本改善
セルフケアだけでは、歯周ポケットの深部にある歯石や細菌は完全には除去できません。
歯科医院での歯周基本治療では、専用器具を用いて歯茎と歯の隙間(歯周ポケット)にある歯石を徹底的に取り除きます。
これにより細菌の温床となる歯石を除去し、炎症と臭いの原因を根本から改善します。
歯周病が重度の場合は、歯周外科治療や再生療法が選択されることもあります。
また、最も大切なのは、治療後の定期的なメンテナンス(定期検診)です。
プロの手によるクリーニングを継続することで、再発を防ぎ、清潔な口内環境を維持できます。
3、生活習慣を見直す
歯周病の悪化、口臭の発生には、生活習慣・食習慣なども深く関係しています。
- 喫煙は血流を悪化させ、歯茎の治癒力を低下させます。
- 糖分の多い食事は細菌のエサになり、臭いを強めます。
- 睡眠不足やストレスは唾液の分泌を減らすため、口臭が悪化しやすくなります。
「歯を磨く」「治療で治す」「生活習慣を整える」の3つをセットで意識することが、長期的な改善の鍵になります。
定期検診で「口臭が気にならない」日常を守る
歯周病は自覚症状が出にくく、痛みや口臭が出た時にはかなり進行していることが多い病気です。
だからこそ、定期的な歯科検診を受けることが、早期に炎症を発見し、口臭の悪化の防止に繋がります。
1〜3ヶ月ごとのチェックとクリーニングを習慣化しましょう。それによって、歯茎の健康と自信のある笑顔、口臭が気にならない日常を長く保てます。
口臭改善には、まず歯周病治療を
口臭の原因を根本から断つには、歯周病の治療が最も確実な方法です。
歯周病菌が作り出すメチルメルカプタンや硫化水素などのガスを抑え、清潔な口内環境を取り戻すことができます。
当院では、あなたの口臭の原因になっているかもしれない歯周病の治療で、多くの方が来院しています。症状に合わせた最適な治療法をご提案することも可能です。
ご自宅でのセルフケアと専門治療を組み合わせれば、清々しい息とともに、自信ある笑顔を取り戻せるでしょう。
もし「口臭がしている気がする…」と感じたら、それは歯周病のサインかもしれません。
放置せず、まずは当院にご相談ください。
監修者プロフィール
- 資格・所属学会
- (社)日本口腔インプラント学会
- 愛知インプラントセンター
- 日本歯科医師会
- 静岡県歯科医師会
- 静岡市歯科医師会