口臭が気になる!口臭の原因とセルフチェックについて
監修:歯科医師 長谷川雄士
「口臭が気になる」というお悩みをもつ方は多くいらっしゃいます。具体的にどのような対策を行えばいいのか、自分だけが気になっているのか他の人にも臭いが伝わっているのかなどがわからないことも問題です。また、相談しにくいため歯科医院への受診をためらわれてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では、「ご自身で口臭を確認するセルフチェック方法」や、歯科医院で行う口臭検査の内容」などについてお伝えします。
【目次】
1.口臭発生のメカニズムとは?
2.口臭のセルフチェックについて
3.歯科医院で行われる口臭検査とは?
4.まとめ
口臭発生のメカニズムとは?
飲食物(にんにくなど)に含まれる臭い成分以外では、口臭の原因となる成分の多くは口の中の細菌が作り出しています。そのため、細菌が増殖しやすい口腔環境だと口臭が発生しやすくなります。細菌は、タンパク質を構成する「アミノ酸」を原料に臭い成分を作り出します。そのタンパク質は、お口の中で剥がれた上皮や白血球などがもとになります。
細菌が臭い成分を持つ「アミノ酸」を分解すると、「VSC:揮発性硫黄化合物」というガスが発生します。これが口臭の原因です。。このガスの主要成分は「硫化水素」「メチルメルカプタン」「ジメチルサルファイド」の3つで、口臭測定装置では、この3つの成分濃度を分析して測定を行います。
口臭のセルフチェックについて
1、唾液のチェック
まずは、清潔なガーゼやコットンを準備しましょう(コットンだと線維がつきやすいのでガーゼがおすすめです。清潔な指で直接行っても良いです)。ガーゼや指で、歯や歯茎のあたりや舌の上をこすってみましょう。次に、その臭いを確認します。
唾液が臭う場合は、お口の中の乾燥が原因となっていることがあります。特に口呼吸の方は、乾燥しやすいです。また、服用している薬の副作用で乾燥しやすくなることもあります。
2、舌のチェック
鏡を見てご自身の舌をチェックしてみましょう。健康な方の舌は、綺麗なピンク色をしています。しかし、舌が白っぽくなっている場合、「舌苔(ぜったい)」が付着していることが考えられます。「舌苔」は細菌の住処となりやすく、口臭の原因にもなります。特に舌の後方部分に付着する「舌苔」は口臭の発生源となりやすいです。
予防方法としては、「舌磨き」を行う事です。舌磨き用のブラシでも普段使われている歯ブラシでも行えます。1日1回、舌の表面全体を2~3回優しくこすってください。特に朝がおすすめです。舌は傷つきやすいので、頻度と回数を守って行いましょう。
3、息のチェック
ご自身の息をビニール袋やコップに吹き込んでみましょう。その後一度、蓋をするなどして密閉してから中のニオイを確認します。臭いを感じるようであれば、口臭が強い可能性が高いです。
この方法の注意点は、ビニール袋などは新しいものを使用することです。古いもので行うと、ビニール袋自体に臭いが残っていることがあるので正確に確認できません。
4、口臭チェッカーによる測定
ご自宅で使用できる口臭チェッカーで測定することもできます。
ドラックストアや家電量販店などで販売されており、息を吹きかけることで口の中の臭いを数値化してくれるものです。
しかし、市販の口臭チェッカーは医療機関で使用するものよりも精度が低く、数値が変動しやすくなることもあります。そのため、あくまで1つの目安として利用することをおすすめします。
心配な方は歯科医院を受診してみましょう。
歯科医院で行われる口臭検査とは?
歯科医院や口臭外来で行われる口臭検査についてご説明します。主に、口臭測定器や口臭水分量測定器を使用して行います。
1、口臭測定器
口臭測定器を使用することで、口臭の主な原因である硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドを測定します。
・硫化水素・・・不十分な歯磨きによる、プラークや舌苔の付着が原因と考えられる。
・メチルメルカプタン・・・歯周病が原因と考えられる。
・ジメチルサルファイド・・・体の消化器官における問題、服用している薬が原因と考えられる。
これらの物質が、呼気に含まれているかどうか、機械を使用して分析を行い原因を探っていきます。
2、口腔水分量測定器
口の中の乾燥は、口臭の原因になります。乾燥状態は、お口のネバつきや粘膜を目で見てみることで確認できます。しかし、目視や感覚では、どのくらいのレベルで口の中が乾燥しているのかまではわかりません。
口腔水分量測定器を使用すると、口の中の乾燥状態を数値で見ることができます。測定器を舌表面に2秒間接触させるだけで検査を行える機械もあります。数値はレベル1~レベル5までで乾燥レベルを知ることができ、どのくらいお口が乾燥しているか具体的に知ることができます。
お口の乾燥は、「口呼吸」、「服用している薬の副作用」、「お酒やタバコ」、「ストレスによる自律神経の乱れ」、「体の機能障害」など様々な原因が考えられます。唾液の分泌が低下している場合は、唾液腺を刺激する「唾液腺マッサージ」を行うと効果的です。
また、お薬などを使用している方は、副作用で「口渇」(口の渇き)はないか確認してみましょう。
まとめ
口臭のお悩みはデリケートな問題でもあるので、周りの人にも相談しにくいのが実際です。神経質になるくらい歯磨きをしているのに、口臭がなかなか改善されず悩みをかかえている方も多くいらっしゃいます。
口臭の原因は様々であるため、歯磨きでは改善できないこともあります。そのため、まずは口臭の原因が何であるかを見つけることが大切です。歯科医院では、吐く息に含まれる成分や口の中の乾燥レベルを専用の機械を使用して数値化して調べることが可能です。
セルフチェックを試すこともひとつの手ですが、心配な方はお気軽に当院へご相談ください。お口のクリーニングなどで口腔環境を整えることで、口臭が少しずつ改善された方もいらっしゃいます。まずはお気軽にご来院ください。