マウスウォッシュの効果と正しい使い方とは?知っておきたいポイントを歯科医師が解説
監修:歯科医師 長谷川雄士
マウスウォッシュは、口腔ケア用品として広く知られてはいるものの、その効果や正しい使い方まで理解されている方はあまり多くありません。日々のケアに取り入れていても十分な効果を得られていない場合もあるでしょう。
マウスウォッシュの効果を最大限に引き出すためには、正しい知識と使い方が不可欠です。
この記事では、マウスウォッシュの役割と、種類や選び方、そして正しい使い方を歯科医師の視点から詳しく解説します。
マウスウォッシュの役割とは?口内ケアを支える補助ツール
マウスウォッシュは、口腔内の洗浄・殺菌・口臭予防など、日々の口腔ケアを支える「補助的な役割」を担っています。
製品の成分やタイプによって期待できる効果は異なり、主な役割は以下の通りです。
1、口内の殺菌・細菌の抑制
抗菌成分が、歯ブラシの届きにくい隙間にも行き届いて作用することで、細菌の繁殖を防ぎます。抗菌成分には、CPC(セチルピリジニウム塩化物水和物)、IPMP(イソプロピルメチルフェノール)、エッセンシャルオイル(サリチル酸メチル、メントールなど)などがあります。
2、口臭予防
口臭の原因の多くは、細菌が食べカスを分解した際に発生する揮発性硫黄化合物です。マウスウォッシュはこの細菌の活動を抑制するため、口臭予防に効果的です。食後すぐに歯磨きできない時などに、一時的な爽快感を得ることもできます。
3、虫歯や歯周病予防
フッ素配合タイプなら、歯ブラシの届きにくい部位にもフッ素が行き届くため、歯の再石灰化を促して酸から歯を守ることができます。また、細菌の抑制によってプラーク(歯垢)の付着も抑えることができるため、炎症リスクが軽減し、虫歯や歯周病の予防にも効果的です。
4、口内炎などのトラブルケア
殺菌作用により、炎症や傷の悪化を防ぐ効果があります。
5、着色汚れの除去
一部製品にはステイン除去成分が配合されており、着色を浮かせて落とす効果があります(漂白とは異なります)。
マウスウォッシュは、使えば歯周病や虫歯を治すことができると誤解されがちですが、薬ではないため直接的な治療効果はありません。
あくまでも口腔ケアを行うための補助ツールであり、予防効果がメインであることを理解しておくことが大切です。
マウスウォッシュの種類と選び方
マウスウォッシュには、大きく分けて以下の2種類があります。
〇洗口液(マウスウォッシュ):主にブラッシング後に使用し、抗菌やフッ素による予防効果を補強します。
〇液体歯磨き(デンタルリンス):歯磨き粉の代わりに使用し、歯ブラシで磨きながら口腔内を清掃します。
さらに、分類上は、化粧品と医薬部外品に分かれます。
〇化粧品:薬用成分なし。主に洗浄や一時的な口臭予防が目的。
〇医薬部外品:薬用成分配合で、虫歯・歯周病予防効果あり。
また、アルコール配合タイプとノンアルコールタイプも存在します。
〇アルコール配合:爽快感が強いが、口腔乾燥や刺激を感じやすい。
〇ノンアルコール:刺激が少なく、敏感な口腔環境の方や子どもにも適している。
選び方のポイントを簡単にまとめると以下の通りです。目的によって使い分けましょう。
- 虫歯予防 → フッ素配合タイプ
- 歯周病予防 → CPCやIPMP配合のタイプ
- 口臭対策 → 抗菌+清涼成分が配合されたタイプ
- 敏感な口内 → ノンアルコールタイプ
マウスウォッシュに関するよくある勘違い・間違い
便利なマウスウォッシュですが、使い方を誤ると効果を得ることができないので注意をしましょう。
●歯磨きの代わりになると思っている
マウスウォッシュは歯に付着した歯垢を物理的に除去はできません。必ず歯磨き後に使いましょう。
●ブラッシングせずに使用する
歯垢が残ったままだと有効成分が届きにくくなります。
●舌苔を落とさず使用する
舌表面の汚れ(舌苔)は細菌の温床になります。舌ブラシで優しく清掃してから使用しましょう。
●頻繁に使いすぎる
頻繁に使用すると常在菌まで減らしてしまい、口内環境が乱れる可能性があります。1日2~3回までが目安です。
●使用後すぐに飲食したり水ですすいだりする
有効成分が作用する前に流れてしまうため、使用後30分程度は飲食やうがいを控えましょう。
●歯周病治療をマウスウォッシュだけで済ませる
進行した歯周病は歯科医院での専門的な治療が必須です。
マウスウォッシュの効果は使い方次第
マウスウォッシュは、口臭予防や虫歯・歯周病の予防、細菌コントロールに役立つ心強いケアアイテムです。しかし、あくまで補助的なものであり、歯磨きの代わりにはなりません。
正しい選び方と使い方を理解し、自分の目的や口腔状態に合った製品を取り入れることで、日々の口腔ケアの効果を大きく高められます。
今日からぜひ、「正しいマウスウォッシュの効果的な活用」を実践してみてください。歯科医院でもマウスウォッシュを扱っていますので、不明なことがあればお気軽にご相談ください。
監修者プロフィール
- 資格・所属学会
- (社)日本口腔インプラント学会
- 愛知インプラントセンター
- 日本歯科医師会
- 静岡県歯科医師会
- 静岡市歯科医師会
