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歯肉炎の原因と対処法について。放置が招くリスクとは?

公開日:

監修:歯科医師 長谷川雄士


歯茎の腫れや出血に気づいても、「すぐ治るだろう」と放置していませんか?もしかしたら、その症状は、歯周病の初期段階「歯肉炎」かもしれません。自覚症状が少ないため見過ごされがちですが、歯肉炎を放置すると歯を失うリスクや全身疾患にもつながります。
本記事では、歯肉炎の主な原因、早期発見のポイント、そしてセルフケアや歯科治療の対処法まで、歯科医監修のもとで分かりやすく解説します。


歯肉炎とは?症状と健康な歯茎との違い

歯肉炎は、歯茎に炎症が起きている状態を指します。これは歯周病のごく初期の段階であり、痛みがないまま静かに進行するのが特徴です。多くの方が気づかずに放置してしまい、やがて歯を支える骨にまで炎症が及ぶ「歯周炎」へ進行してしまうこともあります。
健康な歯茎には、次のような特徴があります。

  • 薄いピンク色
  • 弾力があり、引き締まっている
  • 歯と歯の間にシャープな三角形の歯間乳頭がある
  • 表面にスティップリング(みかんの皮のような小さな凹凸)が見られる

一方、歯肉炎が進行した歯茎には以下のような症状が見られます。

  • 赤や紫に変色している
  • ぶよぶよと腫れていて弾力がない
  • 歯磨き時に出血しやすい
  • スティップリングが消失して滑らかになっている

もし、歯茎が上記のような状態なら、歯肉炎の可能性があるため早めの対処が必要です。

歯肉炎の主な原因。日常に潜むリスクとは?

歯肉炎を引き起こす原因はさまざまですが、代表的なものは以下の通りです。

1、プラーク(歯垢)の蓄積
歯肉炎の最大の原因は、プラーク(歯垢)の蓄積です。歯と歯茎の間に残った食べかすに細菌が繁殖し、毒素を出して歯茎を刺激・炎症させます。プラークはおよそ48時間で硬化し、歯石となって歯ブラシでは除去できなくなります。

2、不十分な歯磨き
磨き残しが多いと、口腔内にプラークが溜まりやすくなります。特に、奥歯や歯並びが悪い部分は歯ブラシが届きにくいので要注意です。

3、ホルモンバランスの変化
思春期や妊娠中、更年期など、女性ホルモンの影響を受けやすい時期は、歯茎の血流が増え、炎症反応が起きやすくなります。妊娠性歯肉炎と呼ばれる症状もその一例です。

4、ドライマウス(口腔乾燥症)
ストレス、加齢、薬の副作用、喫煙などが原因で、唾液の分泌量が減少することがあります。唾液には抗菌作用があるため、分泌量が減ると細菌が増殖しやすくなります。

5、ブラッシングが強すぎる
「しっかり磨く」つもりが、強くゴシゴシ磨きすぎると歯茎を傷つけてしまうことがあります。歯茎にできた傷が歯肉炎の原因になるケースもあります。

6、栄養不足(ビタミンCなど)
栄養バランスが崩れると免疫力が下がり、炎症が起きやすくなります。特にビタミンC不足は歯茎からの出血を引き起こしやすいと言われています。

7、智歯周囲炎(親知らずの周りの炎症)
斜めに生えた親知らずの周囲は清掃が難しく、汚れが溜まりやすいため、歯茎の炎症を引き起こすことがあります。

歯肉炎を放置するとどうなる?

歯肉炎を放置していると、炎症が歯茎の奥深くへ進行し、やがて歯を支える骨が溶ける「歯周炎」に進展します。
歯周炎になると以下のような深刻な症状が現れます。

  • 歯茎が下がり、歯が長く見える
  • 歯がぐらつく、噛むと痛い
  • 膿が出る、強い口臭がする
  • 最終的には歯が抜ける

さらに、歯周病菌が血液を通して体内に広がると、糖尿病の悪化、心疾患、早産や低体重児のリスク増加など、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

歯肉炎の予防と対策

歯肉炎は早期に対応すれば、ほとんどが改善可能な病気です。以下の習慣を取り入れましょう。

<毎日のセルフケアの徹底>

  • 歯と歯茎の境目に毛先を当てる「バス法」で優しくブラッシング
  • 歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯の間の清掃
  • 抗菌うがい薬の併用(刺激の少ないタイプ推奨)
  • 食後は30分以内にブラッシング
  • キシリトールガムで唾液分泌を促す

<歯科医院での専門的なケア>

  • 3〜6ヶ月ごとの定期検診
  • 専用の器具を使ったクリーニングでの歯石除去
  • 正しいブラッシングの指導
  • 症状が進んでいる場合は歯周病治療(スケーリング、ルートプレーニングなど)

歯肉炎には早めの対処を

歯肉炎は、自覚が症状がほとんどないために見逃されがちですが、放置するとやがて歯の喪失や全身疾患のリスクを高めることになります。しかし、毎日のケアと定期的な歯科受診を心がけることができれば、健康な歯茎を維持することができます。
もし「歯茎が腫れている」「出血しやすい」などの異常を感じたら、まずは歯科医院でのチェックを受けましょう。早期発見・早期治療が何より大切です。

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