大きい前歯を目立たなくしたい！治療方法とそのリスクについて
監修：歯科医師 長谷川雄士
口元の見た目に関するお悩みのひとつとして、「歯の大きさ」が挙げられます。特に前歯の大きさはコンプレックスに繋がりやすく、「目立つのが気になって思うように笑えない」と感じられている方も少なくありません。今回は、前歯の大きさの改善方法とそれに伴うリスクについて詳しく解説します。
大きい前歯と出っ歯の違いとは？
歯が大きく見える原因は様々です。主な原因は遺伝ですが、そのほかに、下記のようなことも関係しています。
１、永久歯の発育時の栄養状態
永久歯は、形成される際に適切な栄養が供給されることで、健康的に成長しますが、これが歯のサイズに影響を及ぼすと言われています。
２、咀嚼回数
食事の際の咀嚼回数が多いと、顎の筋肉が発達して、顎の骨も成長しやすくなります。これによって、顎が大きくなり、結果として歯が大きく見えることがあります。
３、顎の成長
歯自体の大きさが正常であっても、顎の成長が不十分だと歯が大きく見える原因になり得ます。
前歯の大きさには、上記のような要因が複合的に作用していて、単純に歯自体が大きい場合と、顎とのバランスが悪いせいで歯が大きく見える場合があります。
また、出っ歯（上顎前突）のように、歯や顎の大きさは普通でも、歯が前に突出していることが原因で、前歯が目立つことがあります。このケースの主な要因は、指しゃぶりや爪噛み、舌癖（舌を前歯の裏側や歯茎に押し付ける癖）など、幼少期の生活習慣や癖です。
何が原因で大きく見えるかによって対処方法が異なるため、もし歯の大きさを改善したい場合は、歯科医院にて適切な診断を受けるようにしましょう。
大きい歯を目立たなくさせるために、健康な歯を「削る」
ご自身の歯を削って目立たなくすることで、歯の大きさを目立たなくすることができます。被せ物にはいくつか種類があり、それぞれ特性が異なります。治療前には必ずカウンセリングを受け、材質の特徴などを十分に理解した上で、ご自身にとって最適な方法を選択するようにしましょう。
歯を削るリスクについて
この治療で最も重要なのは、治療に伴う重要なリスクを十分に理解することです。被せ物をするためには、ご自身の健康な歯を大きく削る必要があります。一度削った歯は元の状態には戻せません。また、歯を大幅に削ると、歯の内側にある神経を取らなければいけなくなります。神経を除去した歯は、健康な歯と比較してもろくなるため、将来的に歯を失うリスクが高まります。そのため、治療前に必ず歯科医師と相談し、以上のようなことを理解した上で治療に望むようにしてください。
矯正治療で対応が可能なケース
矯正治療も歯の大きさを目立たなくする方法の一つです。矯正治療には、いくつかの種類があります。
- 全体矯正
- 部分矯正
- インプラント矯正
矯正治療では、歯に弱い力をかけて徐々に歯の位置を移動させます。この治療は全ての方に適しているわけではありません。歯周病の進行などによって、歯を支える顎の骨が不十分な場合は、矯正治療でかかる力に歯が耐えられなくて、抜けてしまうことがあるのです。そのため、治療を始める前には、患者様の口内環境を正確に診断する必要があります。
前歯の矯正治療のリスクについて
矯正治療には多くのメリットがありますが、下記のような潜在的なリスクも伴います。
●歯根吸収や歯髄壊死、歯肉退縮
歯を動かすことによって、歯やその周囲組織へ圧力がかかり問題が引き起こされる
●知覚過敏
健康な歯を少し削ってスペースを作ることが必要な場合、その部分が敏感になることがある
●虫歯や歯周病のリスク増加
矯正装置がついていると、歯磨きが難しくなり、結果として虫歯や歯周病のリスクが高まる
矯正治療を選択する際は、これらのリスクだけでなく、費用や治療期間も考慮する必要があります。ご自身にとって最適かどうかを判断するためにも、歯科医師と相談することが重要です。
まとめ
大きな歯を目立たなくする主な方法として、「被せ物」や「矯正治療」があり、それぞれメリットやデメリットが異なります。
治療方法を選ぶ際には、見た目を早く改善したいという願望だけで安易に決定せず、長期的な影響やご自身が最も重視したい部分を踏まえて慎重に考えることが重要です。即効性を求めるか、歯の健康を最優先するかなど、歯科医師とよく相談して納得した上で治療方法を決定するようにしてください。
もし、前歯の大きさについて悩まれているようなら、一度歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。あなたにあった治療方法を一緒に探しましょう。