歯の黄ばみの原因はエナメル質形成不全かも?原因と対処法を解説
監修:歯科医師 長谷川雄士
歯の黄ばみにお悩みの方は少なくないかと思います。もしかすると、その原因は「エナメル質形成不全」かもしれません。なぜこのような状態になるのか、そして今後、歯の色を改善する方法があるのかどうか。今回は、エナメル質形成不全の原因と対処法をお伝えしていきます。
エナメル質形成不全とは
歯を覆うエナメル質が正しく形成されないことを、「エナメル質形成不全」といいます。エナメル質が不完全だと、象牙質が露出し、結果的に虫歯になりやすくなるのです。
エナメル質形成不全の原因は、いくつか考えられます。
●遺伝
両親のどちらかにエナメル質形成不全が見られる場合、子供にも遺伝することがあります。
●栄養障害
歯が成長する重要な時期に栄養が足りないと、エナメル質が適切に形成されません。
●虫歯
乳歯が大きな虫歯になると、永久歯の健康に悪影響を及ぼすことがあります。
●けが
乳歯の時に転んだりぶつけたりした衝撃によって、その後に生えてくる永久歯に影響を及ぼすことがあります。
●母親が服用している薬剤
妊娠中に母親が服用した薬が胎児のエナメル質形成に影響を与えることがあります。
重要なのは、エナメル質形成不全は単なる着色とは異なり、通常のクリーニングでは改善されないという点です。
エナメル質形成不全の治療方法
エナメル質形成不全の歯を白くしたい場合、どのような方法があるのでしょうか?いくつかの選択肢をご紹介します。
ホワイトニング
歯が黄色く見えるのは、エナメル質が薄く象牙質が透けているからです。この問題を解決する方法としてホワイトニングがあります。ホワイトニングには「ホームホワイトニング」と「オフィスホワイトニング」という2種類があります。
「ホームホワイトニング」はご自宅で行うことができます。ご自身のお口に合った専用のマウスピースにホワイトニング剤を入れて毎日約2時間はめることを2週間にわたり行います。この方法は時間をかけて徐々に白さを増していくため、自然な白さが期待できます。
一方、「オフィスホワイトニング」は歯科医院で行う方法で、即効性があります。歯科医師が専用のホワイトニング剤を歯に塗布し、光を照射して歯を白くしていきます。
ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングは、併用をお勧めしています。併用することで即効性と持続性のバランスが取れ、より効果的な結果を期待できます。しかし、歯の状態や目指す白さ、予算などによって最適な方法が異なるため、詳しくは歯科医師との相談が必要です。
ラミネート
エナメル質が失われている部分は人工的に覆うことで改善が可能です。この治療法では、歯の表面を削り、付け爪のようにセラミックを貼り付けます。セラミックは変色する心配がありません。ただし、この治療方法は自由診療になるため、費用は10万円から15万円程度かかります。自由診療は医院によって料金が異なるため、治療を受ける前に歯科医師やカウンセラーとしっかりと相談し、納得した上で選択するようにしてください。
歯の黄ばみを防ぐためにできること
歯の黄ばみは、エナメル質形成不全以外でも起こることがあります。外部要因が多く、少しの気遣いや習慣によって抑えることが可能です。
着色の原因となるものを控える
カレー、キムチ、コーヒー、紅茶、緑茶などの色の濃い食べ物や飲み物、そしてタバコは、歯のステインや黄ばみの主な原因です。また、アルコールの摂取で歯の表面が乾燥するとステインが付着しやすくなります。そのため、なるべくこれらの摂取量を抑えて、もし口にした場合は早めに歯磨きを行なって口内を清潔に保つようにしましょう。
定期的にクリーニングを受ける
エナメル質形成不全とは、歯の表面を覆う硬いエナメル質が正常に形成されていない状態です。通常エナメル質によって守られるべき歯の内部組織や象牙質が露出して虫歯になりやすく、進行も早まる傾向があります。
通常のブラッシングだけではなく、以下のような習慣で虫歯を予防するようにしましょう。
1、定期的な歯科検診
定期検診を受けることで、虫歯やその他の口内問題を早期に発見し、対処することが可能です。
2、クリーニング
歯科医院で定期的にクリーニングを受けることで、ブラッシングだけでは取り除けないプラークを除去し、虫歯のリスクを減少させます。
3、フッ素塗布
エナメル質の強化を助け、虫歯の進行を抑制するために、フッ素の塗布が推奨されています。
歯の黄ばみが気になったら、まずは原因を調べましょう
歯の黄ばみの原因は多岐にわたり、適切な対処法を見つけるにはまずその原因を特定することが大切です。エナメル質形成不全による黄ばみは、歯の内部構造が露出しているために起こり、通常のホワイトニングでは効果が限られることがあります。一方、外部的要因によるステインの場合は、プロフェッショナルなクリーニングやホワイトニングで改善可能です。
黄ばみを感じたら、自己判断せずに歯科医師に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。