顎関節症かどうかが気になる方へ。主な症状と対処法をご紹介
監修:歯科医師 長谷川雄士
ふとした時に顎がカクカクと音を立てたり、口がちゃんと開かなかったりする。そんな症状が気になっていませんか?これらは顎関節症のサインかもしれません。顎関節症には、痛みや動きの制限の他にも様々な症状があり、中には日常生活に支障を来すようなものもあります。この記事では、顎関節症がどんな症状を引き起こすのか、そして、症状が出た時にどうすればいいのかをわかりやすく説明していきます。
【目次】
1.顎関節症が引き起こす主な症状とは?
1-1関節部の痛み
1-2口の開閉障害
1-3異常音
1-4その他
2.顎関節症の原因は日常の習慣?
3.症状が気になったら、生活習慣を見直してみよう
3-1ストレッチやマッサージも効果的
4.顎関節症の相談は歯科医院へ
顎関節症が引き起こす主な症状とは?
顎関節症によってさまざまな症状が引き起こされ、日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。具体的にどのような症状があるのかをご紹介していきます。
関節部の痛み
顎を動かすと痛みが生じることがあります。この痛みは、食事中や会話中、あくびをする時など、顎を頻繁に使うシチュエーションで顕著になります。
痛みは顎だけにとどまらず、耳の周辺にも広がることがあります。程度によっては食事が困難になったり、人とのコミュニケーションが苦痛になったりすることもあるでしょう。
口の開閉障害
口を大きく開けるのが難しくなることがあります。指を縦に2本分程度、もしくはそれ以下しか開けられない、なんてことも。口を広げようとすると痛みが伴うため、食事や会話がしづらくなります。
異常音
顎を動かすと「ポキポキ」「カクカク」「ジャリジャリ」という音がすることがあります。これらの音は「クリック音」と呼ばれています。クリック音は顎の関節が正常な動きをしていないサインであり、顎の関節のディスクがずれたり摩耗したりすることで発生します。
音がするだけで、必ずしも痛みが伴うわけではありません。しかし、日常生活の中で顎を動かすたびに音が鳴れば気になりますし、何か問題があるのではないかと不安に感じられることもあるでしょう。
その他
顎関節症は、単なる口周りの問題に留まらず、体全体にも影響を及ぼすことがあります。めまいや肩こり、頭痛といった形で現れることが多く、さらに症状が進行すると、うつ病や自律神経のバランスが乱れるなどの問題が生じる場合もあります。
顎関節症の原因は日常の習慣?
顎関節症は、ストレスが主な原因の一つとされていますが、日々の生活習慣も大きく関わっています。以下は、顎関節症を引き起こす可能性のある一般的な生活習慣です。
・片側だけで噛む習慣
食事の際に片方の顎ばかりを使用すると負担が偏ります。これが繰り返されることで顎関節に不均衡な圧力が加わり、顎関節症を引き起こす可能性があります。
・歯ぎしり
睡眠中に無意識に歯を強く擦り合わせる行為です。強い力が顎にかかるため、顎関節に大きな負担を与え、症状を悪化させることがあります。
・食いしばり
集中している時やストレスを感じている時に、無意識に歯を強く噛みしめることがあります。顎への過度な負担となり、顎関節症の原因になります。
・頬杖やうつ伏せ寝
頬杖をつくと顎に直接圧力がかかります。また、うつ伏せや側臥位での睡眠も顎の負担となり、顎関節症を引き起こすリスクを増加させます。
・姿勢の問題
デスクワークやスマートフォンの使用時などに、猫背や前傾姿勢を長時間続けることは、顎だけでなく首や背中への負担も増大させます。
症状が気になったら、生活習慣を見直してみよう
症状が気になっていて、先述した生活習慣が当てはまるようであれば、可能な範囲から少しずつ改善していくことが大切です。特に、無意識のうちに行ってしまう食いしばりや歯軋りがある場合は、顎への負担を軽減するために歯科医院でマウスピースを作成するのも一つの手です。このマウスピースは、睡眠中に歯が直接接触するのを防ぎ、顎の緊張を和らげる助けとなるでしょう。
ストレッチやマッサージも効果的
顎関節症の自宅でのセルフケアは、口周りの筋肉をリラックスさせることから始めます。以下の方法で筋肉の凝りを解消し、顎の緊張を和らげることができます。
<ストレッチ>
まずは、口の周りの筋肉をほぐすためのストレッチを行います。顔を上に向けて、ゆっくりと口を開けてください。この状態を5秒間キープした後、閉じます。この運動を3回繰り返しましょう。もし痛みがある場合は、無理をせずゆっくりと行ってください。
<マッサージ>
・咬筋(噛みしめた時に盛り上がる筋肉)に対するマッサージも効果的です。指1〜2本を使い、少し痛みを感じる程度の強さで、筋肉に円を描くようにマッサージしてください。
・こめかみに位置する側頭筋も同様にマッサージします。これにより、筋肉全体の血行が促進されて緊張が和らぎます。
筋肉は温かい状態の方が凝り固まりを解消しやすいため、これらのストレッチやマッサージは入浴中やお風呂上りに行うとより効果的です。
顎関節症の相談は歯科医院へ
顎関節症はただの顎の痛みだけではなく、放置すると全身へ悪影響を及ぼすおそれがあります。生活習慣の改善が症状の緩和に繋がることもありますが、顎関節症の兆候が現れた場合は、自己判断せずに歯科医院で相談をするようにしましょう。